White band Switch On@芝公園


近頃、世界の諸問題(貧困、病、障害)を救済する手段として、
色とりどりのリストバンドを身につけるという事が浸透してきて
ますが、このイベントは貧困を無くす為の運動を支援するホワイトバンド
のキャンペーンの一環として芝公園で開催されたもの(詳しくはコチラ)。


色んな人がライブを行ったりしていて、色んな地域の食べ物を出す屋台もあったりと
野外イベントな感じなんだけど、ステージでは世界にある貧困の現状をスピーチしていたり、
レポート映像が流れている。僕らはTei TowaがDJをやるとのことで、大体その時間に
合わせて行ったんだけど、けっこうな人が集まっていた。


どこかの国の地ビールを飲んでカレーを食べて、ステージのスピーチを聞いていると、
貧困というのが、ただお金が無いだけででなく、教育が無く、仕事が無く、医療や
インフラが満足で無く、経済取引が対等でないなどの原因がおきている事を今さら
確認させられる。


イベントのハイライトである、7時きっかりに東京タワーがホワイトにライトアップ
される指パッチンでのカウントダウンの時は司会のブライアンの仕切りの悪さも手伝い
イマイチキレのないカウントダウンになっていた。まず指を鳴らせる人が少ないって
いうのも絶対あると思うんだけどナー。自分含めて。鳴りませんもんパチン!なんて。
ただカウントダウンの最中のスピーチの言葉を聞いて、僕らが着ている服を縫ったのは誰か、
食物を作ったのは誰か、携帯に使われる金属を掘り出しているのは誰なのか、
この布はどこで織られたのか、この珈琲はどういう人が育てたのか、このカゴを編んだのは
誰だろうか、そう考えるだけで、僕らが貧しい生活をしている人の労力にどれだけ
頼っているかが分るんだな、と思った。再度。


Tei TowaのDJはいつもながらのアゲな展開でみんな楽しそうに踊っていて、僕も
音には適当にノリながらプロジェクタで投影されるドキュメント映像を見ていた。
そこにはHIV患者が診察を受け、その後症状が悪化し、その苦痛を和らげようと看護婦が
尽くしている。その努力の甲斐なく患者は亡くなり、実は笑顔で看病していた
看護婦もまたHIVにかかっていて、数カ月後に亡くなってしまう。


また次に流れたのは2歳の女の子と小学校低学年くらいの姉が路上で生活している
映像。瓦礫と土ぼこりが舞う路上で毛布にくるまっている2歳の女の子はねずみに
指を食べられてしまって歩けない。お姉ちゃんはその子を大事そうに抱いてあげている。


最初は音楽に熱狂している人々とこの深刻な映像の対比に、なんてグロテスクな状況
なんだと思った。でも今思うと、あそこで踊っていた人達の中で、後になって
あのHIV患者や路上で暮らす女の子の事を考えなかった人はいないんじゃないかと思う。


こういった救済活動がセレブリティやファッションの力を利用している時点で、
嫌な気分になって、そこに参加した人を「偽善者」と決めつける人ももちろんいる
だろうけど、実はそうやって何もしない事がいちばんいけない事だということに
気付いているのかな。


誰かが自分の利益の為に、どこだかに寄付したとする。それは勿論「偽善」として
叩かれる事になるんだけど、寄付を受けた人にとってはそれが偽善かどうかなんて
関係なく、ただ救いになるだろうって事。大事なのは、その困ってる人の
役にたつかということだけだから、しのごの言う前にオメーもなんかやれって
昔から常々思ってきたけど、僕も何もできてない。かといって、
こういう活動につき物の後戻りできなそうな雰囲気も怖い。
そして、このリストバンドはそんな僕みたいな臆病な人にうってつけだ。


みんな、それぞれ腕にしてるバンドを見て、時々その意味を思い出して、
現状をチェックしてみましょう。まずは知ったんだから、これからはその次へ。