5日目-波照間〜石垣〜那覇


朝目が覚めると、周りの部屋から布団を畳む音がする。おはようと声を掛け合う
のがきこえる。結局相部屋になった彼は、一緒に旅行に来ている女子軍団の部屋に
行ってしまって、一人だったので結構快適に寝られたんだった。


外に出て近くの万屋に行くと、おばちゃんが「安栄観光は船出さないって。
でも11時頃に少し大きめな船が来るからそれに乗りなよ」と教えてくれた。
安栄が出ないなら、僕らの持っている往復切符は八重山観光フェリーの船なので
なおさら出ないだろうと思いつつ変な植物の写真を撮る。



石垣の間からにョキット多肉質の幹が出ている。ちょっときもい。


船大丈夫だろうなぁ、と思いつつ宿に戻るとなんだか騒がしい。
よく聞くと安栄が船を出さない事になった、ぐずぐずしてるとやばいから
家の船を出す!ということらしい。僕らは後で大きめのが来ると聞いていたから
なんで焦ってるの?という感じだったが、僕らは後のを待ちますというのも、
なんだかためらわれたし、その情報も確実かどうか今や事態が錯綜していたので、
宿の車で急いで出発する。昨夜の時点ではもうしばらく居ると言っていた
人達も予定を変えたらしく結構な団体さんである。


港に着くとやはり船はいない。高速船が着く桟橋から少し先に車が止まる。
そこには、宿の船が止まっていた。




!?
小さくね?オーナーは船に立っているから、僕らもコレに乗るんだろうが、
みな目の前の事実をいまいち理解できていないご様子。
ただ一人、遅れてやって来た、どうやらオーナーとは親戚同士らしい
メガネの中年男性だけが、すんごい張り切っていた。
いやぁ、この船に乗るのなんて何年ぶりだろうなぁ、なんて言っている。


実際、船の中に荷物を降ろすときの、男性の身のこなしは船の経験のある人の
モノだった。なんだか良く分らないけど、彼はこの、事実に今一つ着いていけない
若者達のリーダーになりつつあった。それだけポジティブだった。


急いで荷物を積み込むと、ビニールの合羽、じゃないポンチョを渡されて、
とりあえず開封して羽織る。開いたビニールにカメラを包んでポケットに
入れると船に乗り込む。しかしやっぱり船は狭くて座るようには出来ていないので
後ろのデッキに直に座る。何人かは船尾の板に腰掛けて直ぐに出発。
いつの間にか風も出てきて、空がヤバい感じになってきてる!


強い波に翻弄されつつ船は出発したけれど、その内にさっきの雲に追い付かれた
かのように豪雨にみまわれる。すぐに雨具が意味無くなって、靴も水に浸かってしまう。
今までの人生でイチバン強い雨を経験した。船より高そうな波が絶えず船の横っ腹に
ぶつかってくるわ、風でフードは飛ばされるわ。そんな状態だから段々グロッキーに
なる人も出てきて、彼女と同室だったこも操舵室に横になってしまった。
下は雨が吹き込んで水たまりになっていたから、びしょびしょになってしまってた。
びしょびしょなのは全員同じだったけど。


もうずいぶん来たんじゃないかというときにオーナーが叫んだ。「あと1時間だから!」
ずっと船尾で雨にうたれて下を向いていた人がはっと顔を上げて聞いて来た。
「い、今なんて?」確かに高速船で1時間かかるんだから仕方ないよな、と思ってしばらく
してから、波の向こうにこちらを軽く抜いていく高速船が目に入った。僕は目がいい。
船体に書いてある名前は・・・サザンクイーン?石垣〜波照間を行き来する八重山観光の船には
波照間で見れる南十字星をひっかけた名前がつけてある。まさか普通に船出たんじゃ?と思うも
まぁ、近くの鳩間島とか小浜島とかから出た船だろう、と思い込む事にした。
雨も過ぎてだいぶ収まってきた海を撮ってみる。何島だろ?


この船を追うかのように、波と水平にびーーーっと飛んでポチャッと落ちるトビウオがいたり、
段々楽しむ余裕も出て来たけど彼女は酔う寸前。グロッキー顔の人の顔を見て、つられたりしている。
船頭の方にはリーダーと比較的余裕のある人達が移動して海を見ている。
大事な事書き忘れてたけど、この船旅の最初っからラジカセから流れているBGMはオレンジレンジ
オーナーとリーダーのBGM。二人にとってはゴキゲンなクルージングみたい。


やっと離島桟橋が近付いてきた。けれど進路はどんどん左へ逸れていく。どうやら
客船以外の船の港は軽く1キロは離れているところらしい。そこで水を吸った服と靴で身体も気分も
重々しいのを奮い立たせて下船。途中から料金いくらなんだろう。お金とるのかな?という懸念は
みんな持っていて、船も降りた事だし精算タイムかな、という空気にみんなが馴染む直前に、
オーナーが言った。「1人5000円ね!」リーダーは払ってなかった。親族だもんなぁ。


みんな自然に散り散りになり、僕らはタクシーで離島桟橋へ。初乗りの390円で着いた。
サンダルを買って履き替える。気分がだいぶ変わる。
無駄になった往復切符を払い戻しに切符売り場へいく。
がらがらっと戸を開けた僕を見て、おばちゃんがエも言われぬ表情をしている。
払い戻しにきました、と言ってもまだ合点の行かない顔をしている。僕はさっき船を
追いこしていったサザンクイーンを思い出して、恐る恐る「今朝、船出ました?」と聞いた。
おばちゃんは「うん、出たけど。。」という。なるほど。おばちゃんとしては、僕らが
唯一の高速船以外でどうやって帰ってきたのか不思議でならなかったのだ。
これは、、、してやられたかな?と思うも、スリルを味わえたしと無理に納得してみる。
みんなから5000円なら台風の間の空室を気に病む必要もなくなるだろうし、ね。


少しヤチムンを土産屋で見てからタクシーで空港へ。予定を二日早めたい旨を伝えて
番号を貰って順番待ち。那覇についても同じ事をしなくてはならないが、今はとにかく
待つのみ。狭い空港なので居場所がないので、外で待つ。波照間のニシ浜で見かけた、金髪の
兄さんが三線ひきながら歌っていて、タクシーの運ちゃんが前を走りながら、
「それだけやれれば上等だよ!」と声をかけた。彼は少し嬉しそうに、歌い続けていた。
しばらくして、空港の喫茶店に入って食事をする。しばらく粘ってまだ順番を呼ばれないので
店を出る。土産売り場でひるぎ(マングローブの一種)の苗とアイスを買って、空港の外で
アイスを食べて戻る。まだ呼ばれないので、また喫茶店に入り、ビールを飲む。


やっと呼ばれた頃には18時を過ぎていて、結局那覇で一泊して翌朝早くに空港に来て、再度順番待ち
という流れしか無くなった。仕方ないので、カウンターで宿の予約状況のコピーとパンフをいくつか
もらって、でかい荷物はロッカーに入れて、モノレールで国際通りにでる。

国際通り、凄い栄えてて驚いた。スタバもあるし原宿より混んでるのでは?幾つかお土産屋を
ひやかして、彼女が前回来たと言う大人な感じの焼き物屋さんでかわいらしい足付きのグラス
なんか買っていく。ホテルに電話したら満杯で、もうしばらくしてかけてくれれば予約に空きが
出ると思うといわれ、その間に居酒屋に。ここも前回来たらしい「うちなー居食屋じんじん」へ。
ここは鬚の長い仙人のようなご主人がいるお店で、僕らが行った時は、おじさんの仲良し3人組と
カウンターでゴルフ話で火花散らしてて全然仕事してなかった。店内にはいたる所に写真やら
イラストが貼ってあって、小学校の頃急いで帰ってはお笑い漫画道場を欠かさず見ていたという
彼女が、富永一郎の絵だ!と言ってまじまじと見ていた。僕も漫画道場見てりゃよかったのになぁ。


お腹が減って来たので、どんどん注文してみる。
これはじーまみ豆腐(ピーナツ豆腐)とゴーヤチャンプルーラフテー(角煮)。あと泡盛


これは海ぶどうミミガーととうふよう。とうふようは、がじゅまるのより全然美味しかった!


最後これは、グルクンの唐揚げ。これも旨かったなぁ。さくさくしている部分を食べつくした。


なんか、めちゃくちゃステレオタイプな頼み方だけど、沖縄で泡盛頼むと水と氷が出て来て自分で
好き勝手飲めるから楽しくて、一人で進んでしまった。デフォルトで8年経ったクースを出している
のも原因かも。一人ですいすい2合のんでへらへらしていた。
外に出て酔いを繕ってホテルに電話すると、やっぱり空きが出たらしくそこに決める。
ホテルは国際通りから、ゆいレールを抜けてしばらくの所にあった。かなり外見の綺麗なホテルだけど
二人で9000円しないいわゆるビジネスホテルみたいなもん。ここにくるまでの通りも
よさそうな居酒屋がいっぱいだったので今度はチャレンジしたい。ホテルの周りはホストクラブ
みたいのが多いらしく、そういう立地だからこその値段なのかもしれない。


部屋の中は小奇麗でこじんまりしている。ベッドはスリープインの一人分より狭いかも。
でもこのマッサージ機!これすごい。最近のヤツはみんなこうなんだろうか。
ふくらはぎのもみ方が絶妙でアイス食べながら、足だけウィーンって結構な時間やってた。


あとテレビ、すげー数のエロいやつが見れるようになってた。一人だったら睡眠不足に
なるような量だったので、一人で泊まる場合は気を付けた方がいいでしょう。


なにはともあれ、疲れた1日だった。今回で一番疲れたけど、また那覇に寄れたのは良かった。
うん。4時間寝て、6時にはホテルを出て空港で順番待ちなので、寝るのだった。

【うちなー居酒屋 じんじん】
□場所 沖縄県那覇市牧志1-3-54地図
□営業時間 17:00〜00:00
□定休日 無休
□TEL 0980-866-6559

【ホテル ソルヴィータ
□HP http://www.solvita.jp/index.html
□場所 沖縄県那覇市松山2-17-17地図
□TEL 0980-863-1234