ビカクシダa.k.aコウモリラン


最近家に新しい植物がどんどん増えてきている。
段々春が近づいて店先に並ぶ種類が増えているのはもちろん
だけど、お店の人と話しているうちに、これあげる、と
くれたりするのも大きい。今回のビカクシダもそんな中の一人。



こいつは銀色の産毛が密生した、鹿の皮みたいな質感のキレイな葉がベロベロッと
何枚も垂れ下がるのが見た目麗しく楽しいシダなんだけど、
以前はいまいち良さが分からなかった。
しかし、ネットなどでヘゴ板に張り付いた巨大なビカクシダをみているうちに、
「なんかけっこう愛嬌あるんじゃないの?・・」と思いはじめて、
段々と家にきて欲しいと思うようになってきた、いわばスルメ惚れ。


最近職場の近くにある園芸店のうちの一つ38(みつばち)という
花屋が、諸事情によってお店を閉めることになり、以前から
ちょこちょこその店で植物を買っていた僕としては、なにかお店をやっていた
証になるようなものを、贈りたいと考えて、今まで買ったり頂いたりした
植物を写真に撮って、店長さんにあげることにした。
ワイヤープランツの仲間、ワイヤーハートなんて僕しか欲しがらないらしく
いくつもらったことやら。ローズマリーも小さなスタッキーも。


徹夜明けの出勤前に急いで写真を撮って、職場からしばらく歩いた所の
セブンイレブンコピー機でデジタルプリントした。
これはすごい。速攻で出来上がるので、デジカメで撮った写真をすぐに
友達にあげたりとか、使えそうだと感心しながら、
セブンイレブンの向かいの、古い一軒家を使っている「斬鉄軒」という
ラーメンやの鉢植えを眺めつつ、花屋に向かう。しかし会社の女の子が
先客でいて、写真は恥ずかしくて渡せず。少し話して会社に戻った。


翌日にはちゃんと渡せて喜んでもらえた。植物談義をしていると、
次の日に最後の市場にいくので、欲しいものある?と聞かれて
なぜかすぐに出てきたのがビカクシダだった。こうベロベロっとしてて、
平たいシダで、とか説明して、あったら入荷してもらう約束をした。


翌日、用事から帰るがてら寄ろうと思っていると、常連さんでもある上司の
奥さんが出てくるのが見えた。なーんか会社の人間ばかり入れ違いで
入るのも恥ずかしいな、と思いつつシダが入荷してるか気になって仕方なかった
僕はいそいそと入店して、果たせるかな、ビカクシダの鉢が並んでいるのが
目に飛び込んできた。早速どれにしようか選ぼうとすると、店長が
「売れません!」というじゃないですか。早く帰ったほうがいいんじゃないですか
とか言われちゃって、こりゃ様子がおかしいってんで、一個は残しておいて
下さいよ。と伝えて会社に戻ると、奥さんが大きな紙袋をお誕生日おめでとうと
渡してくれて、よくわからないながらも中をみると、そこにビカクちゃんが鎮座していた。


僕は突然の事で嬉しいのとびっくりと照れで少し混乱していて、説明されるまで
わからなかったんだけど、どうやら店長と奥さんの立ち話の中で僕の話になり
その日が誕生日だったことを奥さんが言うと、ちょうど僕が欲しがってた
ビカクがそこにあり、これをあげようという流れになったらしい。
写真のはじに写っている白い鉢に入れられてラッピングされたシダは
なんだか無理に着飾らされて居心地悪そうだったけど、店長と奥さんの気持ちを
解いてしまうようで、家に着くまでそのままにしておいた。


家に着き感謝しつつラッピングを解き、恵比寿のBUZZというお店で
購入したカゴに入れてみると、ぴったり収まった。


枯らさないように気をつけて、大きくなるようにがんばります。
子株が出たら、お返しとしてプレゼントできればいいな。本当に。