入院していた父方の祖母の体調が急に悪化したので、田舎である福井に
明日から帰ることになった。容態は極めて悪いらしく、意識はほとんどないらしい。
正月に帰った時は癌の手術も無事に終わって、あとは回復を待つだけだったのに。


術後に、だめ押しの抗癌剤を飲んでから脳硬塞になり、持病の糖尿病と腎臓の機能が低下した
ことにより尿が出なくなり、高熱を出し、腎不全の症状も呈しているという。
腎臓が働かないということは毒素を体外に排出できないということ。
医者によるとあと一日尿が出なかったらもう駄目だろういうことだ。


脳硬塞に関して薬以外の要因もあって、実は祖母は院内で2度もお金を盗まれていたのだが、
元来教育者でプライドも高い祖母だったし、なにより人を疑う事を知らない性格だったから、
そのショックが脳にダメージを与えた事は確実だろう。勿論病院側はそういう事は一切口にしないらしいけど。


家族で帰るために実家に帰ると、寝ていた父が起きてきた。いつもより濃いめの水割りを
飲む父と話していると、ぽつりと色々考えると悲しくなっちゃうな、と言った。
父親がこんなに弱気になるのを初めて見て驚いた。祖母は、父にとっては
あたりまえだけど母親であるわけで、その死を看取る事になるかも知れないと言うのは
想像もつかないくらい辛い事だろう。父が少し縮んでしまったように見えて、頑張ってと心の内で思った。


眠くなるまでの間に腎不全と脳硬塞について調べるも、もちろん劇的な治療法など
見つかるはずも無く。でもなぜか、なんとかなるんじゃ無いか?という思いを捨てきれない。
この病院じゃなかったら、誰かが祖母の財布から金を抜き取らなかったら、とか色々考えてしまう。