福井にきてからずっと降っていた雪も今日は止んでいて、久しぶりに照った太陽で随分溶けてきている。
祖母の経過が読めないので、今日で兄弟3人は先に帰ることになった。
祖母には帰るとは言わずに出ていくことにした。僕達が見舞うようになってから少しづつ
安定してきていたのに、帰るといってしまったらまた気力が萎えてしまうかもと思ったから。
何もしていないのに、叔父には感謝されっぱなしだった。祖母が僕達を分かる内に帰ってきてくれて
よかったと。それはこちらも一緒で、分かってくれてよかった。


朝から1時間くらい病院にいたけど、その間にも色んな人が見舞いにきた。
祖母は母子家庭の人の為に活動をしていたが、その会長さんとか、近所のおばあさんとか、
偶然隣の病室だった祖母の昔の知り合いとか。訪ねてくる人はみな一様にショックを受けていた。
ついこの間まで元気だったのにと、声をそろえる。手を握って励ます人、泣いてしまう人、
僕達に祖母がいかに活動的だったかを語っていく人等々。


いつにも増して人がよく来ていて疲れたせいか、眠ってしまった祖母は、やはり口で息をしている
せいで、舌がからからに乾いてヒビ割れて萎縮してしまっていて、舌の裏側は切れてしまっていた。
今さらながら加湿器をつかってはダメか?と看護婦に聴いてみるが、要領をえない。
主治医次第らしいけど、加湿くらい良さそうなもんだよなぁ。


病室を出る前に薬でパンパンに腫れてしまった利かない方の右足を、マッサージしていて
こんなに祖母にふれるのって初めてだな、と気付いた。80年歩いてきた足だ。できるなら
また歩かせてあげたいけど、医者によれば望みは薄いらしい。
もう会えないかもしれないと思いつつ、病室を後にする。


平均時速130kmの運転により21時に自宅へ。その後、会社に自転車で行き前のオフィスに
残していた過去の仕事のデータをごっそり外付けHDに移す。過去作品を集めてポートフォリオ
を作るため。この会社にずっといるわけにはいかないからなー。