イデーがない


こないだの日曜青山をぶらぶらしていて、一応生まれの地である福井の物産が買える
「福井南青山291」でいつも通りへしこ(鯖のぬか漬け)と五月がせ(ピーナッツ入煎餅)を買って、
とても好きな場所である岡本太郎美術館の脇を通って、イデーへ行こうとして気付いた。


イデーがない。あのつたが絡まった有機的な建物は工事現場の衝立の向こうで瓦礫と化してた。
あーあ。と彼女とつぶやく。
特にイデーの家具は持ってないし、欲しいなとも思ってなかったんだけど、
あのいい具合に古びた作りのビルも、アンティークコーナーのイルマリの家具や
ホグランのガラス細工と一緒にフライターグがおいてあったりするセレクトなんかも好きだった。
なんといっても入り口の観葉植物のたくさんある花屋さんの、鬱蒼とした、
苔むした床の湿気ぽい空気なんかも、いつかはこんな場所を自宅に作りたいと思っていた
ほど好きだったのに。扱っていた草花の値段はさておいても。


また新しいビルがたっても僕はそこを嫌うでしょう。ビルド&スクラップ反対。
どんどん東京が薄っぺらくなっていくよ。